○西置賜行政組合火災調査規程

平成5年12月14日

訓令第6号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 調査本部(第4条・第5条)

第3章 調査員の心得(第6条―第10条)

第4章 調査の実行

第1節 通則(第11条―第13条)

第2節 原因調査

第1款 通則(第14条―第16条)

第2款 質問(第17条―第20条)

第3款 資料の提出(第21条―第25条)

第4款 試験及び鑑定(第26条―第28条)

第5款 実況見分(第29条―第33条)

第6款 現場保存(第34条・第35条)

第7款 少年に関する取扱い(第36条―第43条)

第8款 火災原因の判定(第44条―第46条)

第3節 損害調査(第47条―第49条)

第5章 調査の事務(第50条―第53条)

第6章 雑則(第54条―第59条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査態勢の確立)

第2条 消防長は、適正な調査活動を行うため、常に人員及び器材を整備し、調査能力の向上と調査態勢の確立を図らなければならない。

(調査の区分及び範囲)

第3条 調査は、火災原因調査(以下「原因調査」という。)及び火災損害調査(以下「損害調査」という。)とする。

2 原因調査は、出火原因、延焼経路、避難状況及び消防用設備等の活用状況を明らかにするために行うものとする。

3 損害調査は、火災及び消火のために受けた人的及び物的損害を明らかにするため行うものとする。

第2章 調査本部

第4条 消防長は、大規模・特異火災の発生に際し、機能的かつ効率的な調査を行う必要があると認めたときは、調査本部(以下「本部」という。)を設置するものとする。

2 本部の組織、任務分担等は、そのつど消防長が定めるものとする。

(調査本部長)

第5条 調査本部長は、消防長とする。

第3章 調査員の心得

(常時の心得)

第6条 調査員は、常に調査上必要な知識及び技術の習得に努めなければならない。

(調査員の態度)

第7条 調査員は、適正を旨とし、強制的手段を避け、穏健妥当な方法により、関係者及び住民の協力を得るように留意しなければならない。

(法令の遵守)

第8条 調査員は、消防法その他関係法令を遵守し、個人の自由及び権利を不当に侵害したり、調査上知り得た事項をみだりに他に漏らしてはならない。

(民事不介入)

第9条 調査員は、その職務を利用して民事的紛争に関与してはならない。

(警察との協力)

第10条 調査員は、警察職員と緊密な連絡を保持し、調査に当たつては互いに協力しなければならない。

第4章 調査の実行

第1節 通則

(火災の種別)

第11条 火災の種別は、次の各号に定めるとおりとする。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損したものをいう。

(2) 林野火災 原野又は牧野が焼損したものをいう。

(3) 車両火災 車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損したものをいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損したものをいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損したものをいう。

(6) その他火災 前各号以外の火災をいう。

2 前項の火災の種別が2以上複合したときは、焼き損害額の大なるものの種別とする。ただし、その態様により損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときはこの限りでない。

(調査の立会い)

第12条 法第34条第1項の規定による立入検査は、必要に応じ関係者等の立会を求めて実施し、調査の信ぴよう力の確保に努めなければならない。

(照会)

第13条 消防長は、官公署に対し調査に必要な事項を照会する場合は、火災調査事項照会書(様式第1号)により行うものとする。

第2節 原因調査

第1款 通則

(原因調査の原則)

第14条 原因調査に当たつては、常に事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断により事実の立証に努めなければならない。

(原因調査の方針)

第15条 原因調査は、物的調査及び人的調査を相関的に併せ行わなければならない。ただし、原因の判定に当たつては、物的調査を主としなければならない。

(調査の時期)

第16条 調査は、火災の覚知と同時に着手し、火災時及び鎮火時にわたつて行わなければならない。

第2款 質問

(質問の原則)

第17条 調査員は、被災物の出火前の状況、火気及び可燃物の使用管理の状況、火災の推移、居住者等の行動その他原因調査のため必要な事項について、関係者等から任意に真実の供述を得るように努めなければならない。

(質問の要領)

第18条 調査員は、質問を行うにあたつては、特に供述の矛盾又は変化に注意し、これを端緒として、更に質問を行うよう努めなければならない。

2 調査員は、自己が期待する供述を相手方に暗示するような方法により供述を誘導してはならない。

3 調査員は、供述者が直接経験した事実の供述を得るように努めなければならない。

4 供述者の伝聞にわたる供述で重要な事案に係るものがあるときは、その事実を直接経験した者にさらに質問を行うように努めなければならない。

(現場における質問)

第19条 火災に出動したすべての職員は、現場において関係者を発見し、火災発見時の状況、出火前後の状況等について質問を行うように努めなければならない。

(質問調書)

第20条 調査員は、質問により知り得た事項で調査上必要と認めるものは、質問調書(様式第2号)に録取しておかなければならない。

2 調査員は、質問調書を作成したときは、これを供述者に観閲させ、又は読み聞かせてその署名押印を求めなければならない。ただし、これを拒んだ場合はこの限りでない。

3 調査員は、通訳人の介助を得て質問を行つた場合は、通訳人の介助を得て質問調書を観閲又は読み聞かせ、前条のほか通訳人の署名押印を求めておかなければならない。ただし、これを拒んだ場合はこの限りでない。

第3款 資料の提出

(任意提出)

第21条 消防長は、調査を行うにあたつて、必要と認められる物は、関係者に対して任意提出を求め、これを資料としなければならない。

(資料の提出命令)

第22条 消防長は、前条の任意提出によりがたい場合は、法第34条第1項の規定に基づき資料提出命令書(様式第3号)によりその物の提出を命ずるものとする。

(資料提出承諾)

第23条 消防長は、前2条により資料の提出を求めた場合は、資料提出書(様式第4号)又は試験(鑑定)承諾書(様式第5号)により資料提出承諾及び所有権放棄の有無を確かめておかなければならない。ただし、第21条によつて提出を求める場合で、特に必要がないと認められるときはこの限りでない。

(資料の保管)

第24条 消防長は、前条の資料提出書又は試験(鑑定)承諾書において、提出者が所有権を放棄しなかつた場合は、提出者に対し、資料保管書(様式第6号)を交付しなければならない。

2 提出された資料は、保管品台帳(様式第7号)に記載し、保管票(様式第8号)を付してこれを保管しておかなければならない。

(保管品の返還)

第25条 提出された資料を返還する場合は、資料保管書と引換えに行うものとする。

第4款 試験及び鑑定

(試験)

第26条 消防長は、提出された資料について試験を行つたときは、その結果を試験結果書(様式第9号)に記載しておかなければならない。

(試験又は鑑定の嘱託)

第27条 消防長は、特に必要があるときは、試験(鑑定)嘱託書(様式第10号)により官公署又は学識経験者に試験又は鑑定を嘱託することができる。

(試験又は鑑定の承諾)

第28条 消防長は、第24条により資料保管書を交付した資料の試験又は鑑定を行う場合は、提出者から試験(鑑定)承諾書を得て行わなければならない。ただし、第23条により試験(鑑定)承諾書を得た場合及び特に必要がないと認められる場合はこの限りでない。

第5款 実況見分

(実況見分の原則)

第29条 調査員は、現場その他関係ある場所及び物件について綿密詳細に見分を行い、原因調査資料の発見入手に努めなければならない。

(火災前の状況のは握)

第30条 調査員は、実況見分を行うに当たつては、関係者等を立ち会わせて説明を求め、火災前の状況を明らかにするように努めなければならない。

2 調査員は、当該火災の火元及びその周辺の消防対象物について出火以前の最も近い日に立入検査をした職員から、消防用設備等の状況、防火管理の状況その他当時の状況を聴取し、又は防火管理等調査書(様式第11号)の提出を求めることができる。

(火災出動時の見分)

第31条 最先着隊の指揮者は、出場途上及び現場到着時の燃焼並びにその推移の状況等を必要に応じ、火災出動時における見分調書(様式第12号)により記載しておかなければならない。

(実況見分調書)

第32条 実況見分をした調査員は、実況見分調書(様式第13号)にそのてん末を記載しておかなければならない。

2 実況見分に際し、立会人に説明を求めた場合で見分内容を明らかにするため特に必要と認めるときは、その供述内容を実況見分調書に記載することができる。

(写真及び図面の記録)

第33条 調査員は、調査内容を明らかにするため、必要に応じ図面及び写真により記録しなければならない。

2 調査員は、前項に定める図面記録を行つたときは、現場図面を作成するものとする。

3 調査員は、第1項に定める図面記録を行つたときは、火災現場記録写真を作成するとともに写真の陰画を保存しておくものとする。

第6款 現場保存

(消火活動中の現場保存)

第34条 消防隊の指揮者及び隊員は、出火点と認められる場所及びその付近の消火活動にあたつては、細心の注意をはらい、現場の保存に努めなければならない。

2 調査員は、鎮火前にやむを得ず出火場所の現状を変更するときは写真、見取り図の作成、その他の方法により現状を記録するよう努めなければならない。

(現場保存区域の設定)

第35条 消防長は、必要と認めたときは、鎮火後速やかに、現場保存区域を設定し、現場を保存するため適切な措置を行わなければならない。

2 消防長は、現場保存区域を設定するときは、必要最小限の範囲及び期間としなければならない。

第7款 少年に関する取扱い

(準拠)

第36条 少年が関係する調査については、他の法令等に定める場合を除くほか、この款に基づき行わなければならない。

2 この款にいう少年とは、満20歳未満の者をいう。

(処遇)

第37条 少年が関係する調査を行うにあたつては、少年の将来を考慮し、温情と理解を持つてこれにあたらなければならない。

(少年の立会い)

第38条 少年を実況見分の立会人としてはならない。

(少年の質問)

第39条 少年に対する質問は、必ず立会人をおいて行わなければならない。

(署名押印)

第40条 調査書類には、少年の署名押印を求めてはならない。

(特例)

第41条 前3条の規定にかかわらず、調査を行うため、特に必要があると認めるとき又は年齢、心情、その他諸般の事情を考慮して、支障がないと認めるときは、一般の例により行うことができる。

(氏名告知の禁止)

第42条 少年の関係する火災の情報を報道機関から求められたときは、その少年の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

(準用)

第43条 心神喪失・心神こう弱の状態にある者又はろうあ者の関係する調査は、この款の規定を準用する。

第8款 火災原因の判定

(火災原因)

第44条 職員は、実況見分、質問及び資料等により知り得た事実を総合的に検討し、科学的に考察を加えて明らかにしなければならない。

2 出火原因の分類及び出火箇所の分類は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付消防災第100号)によるものとする。

(平6訓令5・一部改正)

(火災原因判定の区分)

第45条 出火原因の判定基準は、次の各号に定めるとおりとする。

(1) 断定 各資料の証明力を総合することにより、全く疑う予知がなく、極めて具体的かつ科学的にその原因が決定されるもの

(2) 推定 断定するに至らないが、当該資料を基礎として専門的立場から合理的にその原因が推測できるもの

(3) 不明 各資料の証明力が極めて少なく、これに多少の推理を加えてもその原因を合理的に推測することが困難なもの

(火災原因の判定書)

第46条 調査員は、火災原因を判定したときは、火災原因判定書(様式第14号)を作成しなければならない。

2 前項の火災原因判定書には、判定に至つた経緯及び結果を系統的かつ詳細に記載しなければならない。

第3節 損害調査

(損害調査の対象)

第47条 損害調査は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付消防災第100号)に基づき、次の各号について行うものとする。

(1) 火元建物の焼損面積

(2) 延焼建物の焼損面積

(3) 焼損棟数

(4) 罹災世帯及び罹災人員

(5) 死者及び負傷者

(6) 林野の焼損面積

(7) 車両、船舶及び航空機の焼損数

(8) 損害額

2 損害額の査定は、原則として損害査定書(様式第15号~第15条の5)によるものとする。

(平6訓令5・一部改正)

(罹災の報告)

第48条 消防長は、損害額決定のための資料として、関係者から損害の程度について、報告を求めるときは、法第34条第1項の規定により、罹災申告書(様式第16号~第16号の4)を提出させるものとする。

(損害調査書)

第49条 調査員は、被害の調査を終えたときは、罹災物件について損害調査書(様式第17号)、死傷者については死傷者調査書(様式第18号)を作成しなければならない。

第5章 調査の事務

(書類の作成の原則等)

第50条 調査員は、調査書類の作成に当たつては、平易簡明な文章を用い事実をありのままかつ明瞭に表現しなければならない。

(書類の様式)

第51条 この規程の書類の様式は次のとおりとする。

(1) 火災調査事項照会書(回答を含む) 様式第1号

(2) 質問調書 様式第2号

(3) 資料提出命令書 様式第3号

(4) 資料提出書 様式第4号

(5) 試験(鑑定)承諾書 様式第5号

(6) 資料保管書 様式第6号

(7) 保管品台帳 様式第7号

(8) 保管票 様式第8号

(9) 試験結果書 様式第9号

(10) 試験(鑑定)嘱託書 様式第10号

(11) 防火管理等調査書 様式第11号

(12) 火災出動時における見分調書 様式第12号

(13) 実況見分調書 様式第13号

(14) 火災原因判定書 様式第14号

(15) 損害査定書1 様式第15号

(16) 損害査定書2 様式第15号の2

(17) 損害査定書3 様式第15号の3

(18) 損害査定書4 様式第15号の4

(19) 損害査定書5 様式第15号の5

(20) 不動産罹災申告書 様式第16号

(21) 動産罹災申告書 様式第16号の2

(22) 林野罹災申告書 様式第16号の3

(23) 車両・船舶・航空機罹災申告書 様式第16号の4

(24) 損害調査書 様式第17号

(25) 死傷者調査書 様式第18号

(26) 火災調査書 様式第19号

(27) 略式火災調書1 様式第20号

(28) 略式火災調書2 様式第21号

(29) 罹災証明願 様式第22号

(30) 罹災証明書 様式第23号

(31) 罹災証明書受付交付簿 様式第24号

(32) 火災調査報告書 様式第25号

(平6訓令5・一部改正)

(書類の省略等)

第52条 消防長は火災の規模及び被害程度が軽微なものについて、消防行政上又は刑事、民事上において関係が少ないと判断されるときは、調査書類の一部を省略し、火災概要と出火原因判定書を複合した略式火災調書1(様式第20号)及び聞き込み調書と実況見聞調書を複合した略式火災調書2(様式第21号)によることができる。

2 2以上の火災が相互に関連するため、一括して処理することを適当と認めるときは、それらの火災の調査書類を併せて作成することができる。

(署名押印等)

第53条 調査員は、調査書類を作成したときは、特に定めのある場合を除き作成年月日を記載し、所属及び職名を表示して署名押印しなければならない。

2 押印は、原則として認印をもつてするものとする。

第6章 雑則

(証明書の交付)

第54条 消防長は、火災の損害を受けたものから罹災の証明を求められたときは、罹災証明願(様式第22号)を提出させ、罹災証明書(様式第23号)を交付するものとする。

(書類の保存)

第55条 この規程により作成した火災調査書類の原本は、すべて予防課において保存する。

(抄本の送付)

第56条 消防長は、官公署から照会があつた場合は、前条の書類の抄本を送付することができる。

(火災の事後聞知)

第57条 関係のある者から火災のあつた旨、事後の届出があつたときは、この規程に準じて調査し、処理しなければならない。

第58条 削除

(平6訓令5)

(委任)

第59条 この規程の施行について必要な事項は、消防長が別に定める。

(施行期日)

1 この訓令は、平成6年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の日(以下「施行日」という。)以後発生した火災の調査について適用し、施行日前に発生した火災の調査については、なお従前の例による。

(平成6年12月1日訓令第5号)

この訓令は、平成7年1月1日から施行する。

(平成12年1月27日訓令第1号)

この訓令は、公布の日から施行する。

(平成29年5月24日訓令第7号)

この訓令は、公布の日から施行する。

別記様式 略

西置賜行政組合火災調査規程

平成5年12月14日 訓令第6号

(平成29年5月24日施行)

体系情報
第8編 防/第3章
沿革情報
平成5年12月14日 訓令第6号
平成6年12月1日 訓令第5号
平成12年1月27日 訓令第1号
平成29年5月24日 訓令第7号